EU財務相は新型コロナウイルスの世界的流行で大きな打撃を受けたヨーロッパ諸国の経済支援として、5億ユーロ(約5,400億ドル)を援助する救済策を打ち出すことに合意しました。
EUのマリオ・センテノ議長はブリュッセルのEU本部での協議後の会見で、救済策の合意に至った事を発表。ヨーロッパ諸国で最も大きな経済的被害となったスペインのサンチェス首相は、未だ窮地に立たされている深刻な状況であると述べました。また国際通貨基金の常務取締役であるクリスタリナ・ゲオルギエヴァ氏は、1930年代に起こった大恐慌をも超える経済危機に陥っていると警告し、今年の経済成長はかつてない大幅なマイナスになるだろうと指摘しました。
今回の経済政策の主要な計画はEUの救済基金である“欧州安定メカニズム”が含まれています。欧州安定メカニズムとは欧州の債務危機への対応として、ユーロ圏が設立した恒久的な金融支援機関です。これにより、債務超過に陥っている国の財政を支援する目的として、約2,400億ユーロの融資枠を活用できるとのことです。EUはさらに欧州投資銀行から中小企業向けの資金繰り対策として2,000億ユーロの支援金と、欧州委員会による短期の雇用維持対策措置についても合意しました。
今回の救済策に際し、イタリアとスペインはドイツとオランダを始めとする欧州北部の国々が新型コロナウイルスに対する十分な対策を講じていないと非難し、EU間での深い亀裂が露呈しました。今回の合意に至る直前に、イタリアとオランダは復興資金の使途をめぐる交渉が決裂したと報道されています。このことを受けイタリアのジュゼッペ・コンテ首相は「EUは足並みを揃えて、この第二次世界大戦以来の最大の試練に立ち向かう必要がある」と述べ、EU諸国全体の協力が不可欠であると強調しました。
参考元 : BBC