オーストリアでは新型コロナウイルスの拡大を抑えるため休業を余儀なくされていた店舗の一部が、4月14日より営業を再開しました。欧州の中ではいち早く規制緩和に向けて動き出しましたが、政府は「まだ危機から脱出したわけではない」と警戒を緩めないよう市民に呼びかけています。
オーストリアは約4週間前に学校やバー、劇場、レストランなど多くの人々が集まる店舗を閉鎖し、ロックダウンの措置を行いました。国内に外出禁止令を発令し、市民に対して可能な限りの自宅待機を求めていました。このような徹底した規制により、欧州各国と比較してオーストリアの感染状況は比較的落ち着いた傾向にあります。同国内における4月14日時点での死者数は368名に留まり、1日あたりの新規感染者数は一桁台に鈍化。入院患者数も横ばいの数値を記録しています。クルツ首相は国民への書簡にて「経済面においても我々はこの危機からできるだけ早く抜け出し、オーストリア全体の雇用と経済再起のために全力を尽くす必要がある」と表明しました。
14日より営業を再開したのは小規模の小売店舗やホームセンターなどで、5月1日には大型店舗やショッピングセンターなども再開を予定しています。また、レストランやホテルの営業再開は5月中旬より段階的に進められる見通しです。なお、ロックダウン措置は4月末まで予定されていますが、店舗の利用人数の制限やマスク着用義務などの詳細は未だ明確に発表されていません。
一方、世界保健機関(WHO)は10日の会見で「行動規制の早急な解除は感染の再拡大に繋がる恐れがある」と述べ、各国に慎重な対応を行うよう強く求めました。