スペインのペドロ・サンチェス首相は国内の死者数が2万人を超えたと発表された数時間後のテレビ演説で、スペイン全土のロックダウン措置を5月9日まで延長すると発表しました。今までの制限措置によって最も厳しい局面は脱したとしながらも、成果はまだ不十分でありリスクを冒すような解決策を講じることはできないとして慎重に対応していく構えを示しました。
一方で現在行われている制限措置をわずかに緩め、4月27日以降は子どもの外出を可能にする方針を明らかにしました。これまでは仕事や生活必需品の買い物、病院の診察、犬の散歩といった特定の場合に限り大人のみが外出を許可されていました。ロックダウンの措置が取られている他の国々では子供の外出が許可されているとして、スペイン国内でも子どもの外出許可を求める声が高まっていました。
スペインでは死亡者数が2万人を超えており、アメリカとイタリアに次ぎ世界で3番目に多い死者が報告されていますが、スペイン保健省は新規感染者数のピークは過ぎたと述べており病院側の負担も徐々に緩和されてきています。しかし、未だに感染者数は増加しており総数が20万人に達していることから、サンチェス首相は5月11日以降の外出制限の段階的な緩和について「慎重かつ着実に行っていく」と述べています。また、状況に応じて対策を強化する考えも明らかにしました。
首相は演説の最後に「我々が回復に向かっていることを確信している」と発言。スペインではウイルスの再生産率(一人の感染者が平均的に何人に感染させるかを表す値)が1を下回っており、統計上においても感染は縮小傾向にあります。しかし、政府は一部の経済分野は今年中の回復は困難との見解を示しており、特に観光業への打撃は深刻な問題となっています。マドリード市長もラジオ・オンダ・セロの土曜日の放送において、スペインで今夏予定されている大規模なコンサートやスポーツイベントの開催は難しいだろうと述べています。
参考元 : THE LOCAL es