3月14日よりスペインで講じられている封鎖措置による影響で多くの都市から人間の存在が消え、街は静まり返り、野生動物たちにとって平穏で安定した環境に変わりました。その結果、通常は森の中を棲家とするモリフクロウがバルセロナ州郊外にあるマレスメの市街地で巣を作っているのが発見されました。この現象に注目しているバルセロナの生物学者オリオール・ラピエドラ氏は、モリフクロウが都市部を棲家とすることに慣れてしまうと封鎖措置解除後にその存在が脅かされるリスクがあることを指摘しています。
また、都市の生物多様性管理を専門とするミヌアルティア社のカルム・ローゼル氏はバルセロナのエル・プラット等の空港において、バードストライク防止のため封鎖措置の間にカモメや鵜などを追い払う取り組みを強化する必要があったと述べています。ローゼル氏は「野生動物たちは人気のない空港を安全な場所だと誤って認識してしまいます。エル・プラットの周辺には運河や沼地があり、鳥類の餌となる魚が多く生息しているため飛行機の運航が再開された際には双方にとって安全上の問題が発生するだろう」と警鐘を鳴らしました。
一方で世界自然保護基金(WWF)の環境保全コーディネーターであるルイス・スアレス氏は、動物の行動を大きく変えるほどロックダウンの措置は長く続かないとし、「封鎖措置が解除されれば動物たちは都市部から再び姿を消し、元通りになるだろう」と見解を述べました。ただしウサギのような小動物が繁殖に伴いその縄張りを都市部などに急速に拡大することで、人間との交通事故に発展する可能性は高くなると指摘しています。
参考元 : Elpais
https://english.elpais.com/society/2020-04-29/how-spains-coronavirus-lockdown-could-be-endangering-wildlife.html