ETIAS(エティアス)申請とは
Contents
ETIAS(エティアス)とは新たにヨーロッパ諸国へ入国する際に必要となる「事前渡航認証システム」です。
ETIAS(エティアス)の正式名称は”European Travel Information and Authorisation System”と表記します。
日本語では「欧州渡航情報認証制度」と訳され、一般的なヨーロッパ諸国への旅行であれば簡単な手続きだけでビザが不要になるという渡航者にとって便利なシステムです。既にアメリカで導入されているESTA(エスタ)、カナダで導入されているeTA(イータ)と同じ仕組みが、いよいよヨーロッパでも導入されることになりました。
ETIAS(エティアス)はEU諸国(ETIAS加盟国)への入国を希望する海外からの渡航者に対して審査を行うもので、渡航希望者が安全かつ入国に相応しい人物であるかを幾つかの質問により判断するものです。EU諸国へ入国する前に、姓名や国籍などの基本的な情報に加え、犯罪歴や戦争地域などへの渡航歴などの情報も審査規定に含まれます。EU諸国への入国に必要なビザを保有していない海外渡航者は、事前にETIAS(エティアス)による電子渡航認証の申請が必須となります。ETIAS(エティアス)申請の際に必要となるパスポート情報は、欧州警察機構(ユーロポール)などによって厳格に照合され慎重な審査が行われます。
ETIAS(エティアス)導入の背景
ETIAS(エティアス)はヨーロッパ各地のテロなどの犯罪を未然に防ぐことなどを目的として、導入が予定されています。2016年の発表時は2020年からの導入を予定していましたが、現時点では2025年に運用開始となる見込みです。
ETIAS(エティアス)導入の背景には難民問題、宗教戦争、民族侮蔑(ヘイト)などが挙げられますが、導入理由の最も大きな理由としては、各地で起こるテロへの脅威を抑止することです。テロ行為を未然に防ぐためには海外からの入国者の情報を早く正確に共有することで、難民の大量流入や外国人による犯罪を抑止する効果が見込めます。ETIAS(エティアス)の導入により外国人渡航者はEU諸国へ入国する前に事前審査が必要となりますが、審査を行うことでビザ免除国である入国者の審査を容易にすることにも繋がります。そして、違法行為やテロ行為を目的としてヨーロッパ諸国や第三国へ渡航しようとする人物に対し、未然に入国拒否の措置を取ることが可能となります。
なお、ETIAS(エティアス)は取得した全ての方がヨーロッパ諸国(ETIAS対象国)へ入国できるとは限りません。最終的な入国可否の判断は到着した空港の入国審査官に委ねられることを把握しておきましょう。
ヨーロッパ諸国におけるETIAS(エティアス)導入後のメリット
- これまでのビザ申請の手間と時間を大幅に削減できる制度です。
- 隣接する国との国境管理の改善に役立てられます。
- EUビザ自由協定の遂行とさらなる補完に努めます。
- 増え続ける移民問題についての抑制効果が期待できます。
- 外国人によるテロ犯罪や組織的な違法集団の入国抑止に貢献します。
ETIAS(エティアス)が必要となる対象国は?
渡航の際にETIAS(エティアス)が必要となる国は現在29か国となります。(2024年2月現在)
ETIAS(エティアス)対象国
- アイスランド
- イタリア
- オランダ
- エストニア
- オーストリア
- ギリシャ
- クロアチア
- スイス
- スペイン
- スロバキア
- スウェーデン
- スロベニア
- チェコ
- デンマーク
- ドイツ
- ノルウェー
- ハンガリー
- フランス
- フィンランド
- ベルギー
- ポルトガル
- ポーランド
- マルタ
- ラトビア
- リトアニア
- リヒテンシュタイン
- ルクセンブルグ
- ブルガリア
- ルーマニア
ETIAS(エティアス)は、2024年3月31日よりシェンゲン協定への加盟が予定されているブルガリア、ルーマニアへ渡航する際も申請が必要となる見込みです。
ETIAS(エティアス)の導入は2021年後半を予定していましたが、2025年に変更となりました。
ETIAS(エティアス)導入後、日本を含むビザ免除対象国である約59か国の市民が上記の国へ渡航する場合、事前にETIAS(エティアス)申請を済ませておく必要があります。
ETIAS(エティアス)申請料金と有効期限
ETIAS(エティアス)の申請費用について
ETIAS(エティアス)申請の費用は7ユーロで、18歳未満と70歳以上は無料となる見込みです。なお、ETIAS(エティアス)申請はオンラインにて行われます。そのため、ネット環境に繋がるパソコン、スマホ、タブレットと送受信が可能なメールアドレスが必要となります。また、お支払いは各種クレジットカードかPaypalアカウントでの決済となります。銀行振込やコンビニ支払などでの決済は出来ませんのでご了承ください。なお、ETIAS(エティアス)は欧州連合代表部(EU大使館)や領事館の管轄外となるため、ETIAS(エティアス)申請やお問い合わせは受け付けておりません。
ETIAS(エティアス)の有効期限について
ETIAS(エティアス)の有効期間は原則として3年間となります。ETIAS(エティアス)の有効期間内であれば何度でも対象国に渡航することが可能です。ただし、3年以内にパスポートの有効期限が切れてしまう場合は、パスポートの有効期限日を以てETIAS(エティアス)も失効となりますのでご注意ください。パスポートの有効期限が迫っている方は、パスポートを更新した後にETIAS(エティアス)申請を行う事をお勧めします。なお、ETIAS(エティアス)を利用して渡航する場合は、ビザを取得せずに渡航する際の入国条件と同様に、一度の渡航につき最長90日以内の滞在が認められます。ETIAS(エティアス)を利用する場合、渡航目的は一般的な観光か現地での就労を伴わない短期のビジネスに限定されます。91日以上の滞在やETIAS(エティアス)加盟国での就労(アルバイトを含む)を希望する方はビザの取得が必要となりますので、ご自身の目的に合わせたビザの申請をご検討ください。
ETIAS(エティアス)申請に必要なもの
ETIAS(エティアス)申請の際に必要となるものは下記の3点となります。
期限が有効なパスポート(ICチップ付き・機械読み取り式のパスポート)
現在、日本で発行しているパスポートは全てICチップ搭載の機械読み取り式となっております。期限切れのパスポートでのETIAS(エティアス)申請はできませんので、必ず期限が有効なパスポートをご用意ください。
オンライン環境(パソコン、スマホ、タブレットいずれでも可)
ETIAS(エティアス)申請はオンラインで行うため、パソコンやスマホなどの機器とスムーズな送受信が可能なメールアドレスの登録が必要となります。スマホのキャリアメールアドレスで申請を行う際は、パソコンからのメールを受信可能な状態にしておきましょう。また、Gmailなどのフリーメールアドレスで申請を行う際は申請結果メールが迷惑メールフォルダに振り分けられてしまう場合がありますのでご注意ください。
クレジットカード
期限が有効なクレジットカードのご用意をお願いします。以下のクレジットカード会社がご利用いただけます。
VISA、Master Card、JCB、Diners、American Express、また、Paypalアカウントでの決済も可能です。
ETIAS(エティアス)申請は申請者名とクレジットカード名義人が異なっていても審査に問題はありません。クレジットカードをお持ちでない方や未成年の方は、代理の方や保護者に同意を得た上でクレジットカードのご利用をお願いします。
ETIAS(エティアス)申請時の入力情報
ETIAS(エティアス)申請の際に入力が必要となる主な情報は下記の通りです。入力した情報と様々なデータベースとを照合し、入国審査が行われます。
申請者情報
氏名、性別、生年月日、国籍など申請者に関する基本的な情報
パスポート情報
申請者が所持しているパスポートに記載されているパスポート番号、発行日、有効期限日、他国のパスポート所持などの情報
連絡先情報
現在お住まいのご住所、出身地、Eメールアドレス、緊急連絡先などの情報
その他質問
最初に入国する国、滞在先、両親の名前、現在の就労先や在学先に関する情報など
ETIAS(エティアス)を利用してEU圏内へ渡航する場合、最初に入国した国にて入国審査が行われます。次のEU圏内の国へ入国する際、入国審査は行われません。
適格性の質問
犯罪歴、戦争地域国への渡航歴、過去のオーバーステイの有無などの質問
決済に関する情報
申請費用の決済に使用するクレジットカード番号、有効期限などに関する情報
ETIAS(エティアス)申請の際の注意点
ETIAS(エティアス)申請の際、申請者情報とパスポート情報の入力は非常に重要となります。全て英語(ローマ字)にて入力する必要がありますので慎重な入力を心がけましょう。万が一、間違えて登録をしてしまった際は再申請が必要となる場合がありますのでご注意ください。
適格性に関する質問で1つでも「はい」の該当がある方はETIAS(エティアス)を利用してのEU渡航が認められないことが予想されます。申請の結果、「渡航認証拒否」と通知された方は目的に応じたビザの申請をご検討ください。
以上の申請項目は暫定であり、今後変更となる場合もありますのでご了承ください。
ETIAS(エティアス)取得までにかかる時間
申請後、ETIAS(エティアス)に加盟する国への渡航が認められた場合は「渡航認証許可」の通知がEメールにて届きます。結果の通知までに要する時間は当日中を予定されていますが最大30日ほどかかる場合もあると告知されているため、十分に余裕を持って申請を行うことを推奨します。
ETIAS(エティアス)の利用条件
ETIAS(エティアス)を利用する場合、渡航の目的は下記のいずれかに限定されます。
- 一般的な観光
- 短期のビジネス
- 目的地に向かうための乗り継ぎ、乗り換え
ETIAS(エティアス)は主に90日以内の観光などを目的として欧州へ渡航する方が利用できる渡航認証制度です。ビザとは性質が異なるため、「渡航認証許可」を取得しても必ず入国できる保証はございません。入国審査は最初に到着するETIAS(エティアス)対象国の空港にて行われ、入国可否の判断は入国審査官に委ねられます。渡航当日までにETIAS(エティアス)申請を済ませていない方は飛行機や船舶への搭乗拒否が予想されますので、渡航が決まった段階で早めに申請を行うことをお勧めします。
ETIAS(エティアス)の承認が許可されなかった場合
ETIAS(エティアス)申請後、審査結果が通知されるまでに最大で30日かかることが予想されます。何らかの理由により審査結果が「渡航認証拒否」となった方はETIAS(エティアス)を利用しての欧州渡航は認められませんので、該当国の大使館・領事館にてビザの申請をご相談ください。
なお、ETIAS(エティアス)申請で「渡航認証拒否」となった場合、具体的な理由は申請者へ告知されることはございません。結果のみが通知されますのでご了承ください。
ETIAS(エティアス)関連リンク(基本情報・設立背景)
- ETIAS(エティアス)に関するQ&A(EU欧州連合)
- ETIAS(エティアス)設立背景(欧州委員会)
- ETIAS(エティアス)について(EU欧州連合)
- ETIAS(エティアス)のポリシー(欧州理事会)
- ETIAS(エティアス)の計画について(欧州連合経済社会評議会(EESC))
- ETIAS(エティアス)の意義(FRONTEX)
- ヨーロッパ旅行について(駐日欧州連合代表部)
- ETIAS(エティアス)の概要(駐日欧州連合代表部)
更新日 : 2024/05/31