2018年2月17日、ドイツは公共交通機関を無料にすることで国内を走る乗用車を減らし、二酸化窒素などの排出を減らそうとする動きが出ている。
無料化に関わる資金の一部はドイツの自動車企業が負担するとしている。これは、ドイツ環境相バルバラ・ヘンドリクスらがEU環境長官であるカルメヌ・ヴェッラへ宛てた手紙に記されていた提案事項としてAFPが2月13日に報じた。
公共交通機関によりEU排気規制に対応する
EUは「命に係わる汚染」がヨーロッパの130以上の都市に影響し、年間40万以上の死と200億ユーロの医療費負担となっているとして排気の規制に積極的である。しかし、二酸化窒素やPM2.5などで知られる微細粒子排出量のEU規制にドイツは今のところ適合できていない。当初この排出量規制の締め切りは2018年1月30日だったのだが、ドイツだけではなくフランス、スペイン、イタリアなど8か国が締め切りまでに間に合うことができていない状況となっていた。環境長官ヴェッラはこの締め切りを延長するとしたが、最終的に排出量基準を超過したままだと法的措置を取ることもやむを得ず、違反国には罰金が課せられることになる。
これを回避したいドイツは公共交通機関を無料化することで乗用車の使用者数を減らし、排気を削減して規制に適合したい思惑だ。しかし、全国の公共交通機関を無料化するのは一大事である。無料化にかかる費用は約10億ユーロ(約1331億円)掛かるとされるが、これに関してドイツは国内の自動車会社に一部負担させる考えだ。
一部資金はドイツ国内の自動車メーカーが負担
費用の一部を担う自動車会社はBMW、フォルクスワーゲン、ダイムラーなど、2015年にディーゼル車をめぐる排出ガス規制不正問題に関与していたドイツ国内のメーカーであると推測される。排気ガス試験の時には規制に適合する排出をするが、通常走行時には規制を上回る排気となる不正ソフトウェアによって、全世界で1100万台以上に影響がでたとされる事件を起こしたが、これは各社が意図的に合同で行っていたもののようだ。
ドイツ環境相バルバラ・ヘンドリクスの提案では、政府がそんな自国の自動車会社に「この緊急対策を確実に融資させるべきである」としている。先述の自動車メーカーに合計約2億5000万ユーロ(約333億円)を求めており、既に公共交通機関無料化に提供することに合意しているとされる。この提案により、ボンやエッセンなど、ドイツ西部の5都市で遅くとも2018年末までに試験的に実施するとのこと。