【ヨーロッパの新型コロナウイルス最新情報はこちら】
欧州理事会(EU)は2024年から導入を予定していた電子渡航認証“ETIAS”の運用開始を、2025年春に延期すると発表。一方でETIASの導入に先立ち、電子登録による新たな出入国システム“EES”を2024年秋頃より開始する見通しを示しました。
ETIASは日本を含むシェンゲン協定域外の市民が対象となり、今後はシェンゲン協定加盟国と一部近隣国へビザなしで渡航する際に申請が必須となる電子渡航認証です。欧州各国政府は導入に向けて2016年より準備を進めてきましたが、ETIASに付帯するEESのシステム構築が難航し幾度も延期を繰り返しています。EU当局はETIASの導入延期について、「これまで調整を続けてきましたが、複雑な事情が絡み延期の判断を下しました。改めて開始時期を2025年5月に設定し、各国との連携を深めて導入を進める方針です」と報告。およそ3年に及んだコロナ禍の影響を受け、様々な業務が停滞した面も延期の理由に挙げています。
また、来年から開始するEESに関しては「電子化されたデータベースを活用し、現在の出入国スタンプに代わる新たな制度として導入します。指紋と顔画像を利用した生体認証により、身元確認も効率化される見通しです」と説明。自動で出入国履歴が記録されるため、不法滞在(オーバーステイ)の抑止にも繋がると述べました。EU当局は今回の発表に際し、「ETIASの運用にはEESとの相互リンクが不可欠」と強調。2024年秋から導入するEESの効率化を検証し、機能が安定した段階でETIASの運用を開始する意向を示しています。